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3.132019
建物の管理は具体的にどうなっていれば良いのか?【空気編】
前回の記事にある法的に管理を義務付けられている「特定建築物」に関して、具体的にはどのようになっていれば管理されているとなるのでしょうか?
「清掃管理とは?」にも記載したように、建物内の「空気」「水」「清掃」「ねずみ、昆虫の防除」をある基準に保つことがその建物がちゃんと管理されている事となります。
まずは、「空気」の守るべき基準ですが、下記の7つの項目になります。
1.浮遊粉塵: 0.15mg/㎥以下【平均値】
2.一酸化炭素: 10ppm以下【平均値】
3.二酸化炭素: 1,000ppm以下【平均値】
4.温度: 17℃~28℃【瞬時値】
5.相対湿度: 40~70%【瞬時値】
6.気流: 0.5m/s以下【瞬時値】
7.ホルムアルデヒド: 0.1mg/㎥以下
浮遊粉塵は空気中に舞っている小さい埃や塵になります。(昔はたばこの煙が原因の主でした。)十分に清掃がされていないと建物内が埃っぽい環境となり、埃の中のダニやカビのせいでアレルギーや感染症、食中毒の原因にもなり、人体への悪影響がでます。
一酸化炭素や二酸化炭素は人体に直ぐに影響を及ぼします。例えば、一酸化炭素であれば200ppmで頭痛や疲労感、800ppmでも2時間で意識不明、1,600ppmで1時間で死亡してしまいます。二酸化炭素は、人が多い閉じた空間、例えば披露宴会場や会議室などでは直ぐに上昇してしまいます。換気が出来ていないと直ぐに1,000ppmを超えて、思考力や集中力が低下していきます。2,000ppmを超えてくると頭痛や眠気、倦怠感、5,000ppmで作業場所としての限界、40,000ppm以上で昏睡状態、最悪死亡します。
温度と湿度は、作業環境の最適化パラメータとして非常に重要になってきます。コーネル大学の調査で「室温を快適な温度に保つことで、労働者一人につき1時間あたり2ドル多く利益を上げる」という結果も出ています。
また、早稲田大学の調査で湿度が35%以下の乾燥状態になると、「まばたきの回数の増加が見られる。視覚によるデータ収集が必要なタスクにおいて、大きく継続的な負の影響が見られた。」という結果があり、乾燥していると継続的な作業効率が下がるようです。逆に70%以上の湿度環境では疲れを感じやすくなるようです。(夏場は特にそうかと思います。)
気流の影響はそれほど大きくはないですが、人が感じる速さの気流が直接当たると時期によっては不快になります。
ホルムアルデヒドは、接着剤や塗料・防腐剤などの成分で、濃度が高いと目などの粘膜刺激や気管への刺激、呼吸障害などが起こります。
実際に、空気が基準値内で守られているかどうか、2ヵ月に一度、ホルムアルデヒド以外の空気環境測定をする必要があります。(ホルムアルデヒドは大規模改修を行って使用開始以降の6月1日から9月30日までの期間中に1回測定する必要があります。)測定方法は、各フロアの居室の中央部の床上75cm以上150cm以下の位置で測定します。
このように建物内で人が最適に行動・仕事ができるよう、「空気を定期的に測定」することが建物管理として義務付けられています。