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人が危険と感じる空気

前回の記事で、人が快適と感じる空気の割合や換気などの対応について書きましたが、今回は身体に悪影響を及ぼす危険な空気を紹介します。

代表的なものが、「一酸化炭素」です。よく一酸化炭素中毒などでニュースに出てくると思います。危険にも関わらず、一酸化炭素自体は無味無臭なので直ぐに気づくことが出来ません。

一酸化炭素が体内に入ると、血液中の酸素を運ぶ「ヘモグロビン」とくっついてしまい、酸素を運んでくれなくなってしまいます。そうすると全身の細胞や組織が酸素不足となり、窒息死してしまいます。濃度によっての症状は下記のとおりです。

1.一酸化炭素濃度0.02%【200ppm】: 2~3時間で前頭部に軽度の頭痛
2.一酸化炭素濃度0.04%: 1~2時間で前頭痛・吐き気、2.5~3.5時間で後頭痛
3.一酸化炭素濃度0.08%: 45分間で頭痛・めまい・吐き気・痙攣、2時間で失神
4.一酸化炭素濃度0.16%: 20分間で頭痛・めまい・吐き気、2時間で死亡
5.一酸化炭素濃度0.32%: 5~10分間で頭痛・めまい、30分で死亡
6.一酸化炭素濃度0.64%: 1~2分間で頭痛・めまい、15~30分で死亡
7.一酸化炭素濃度1.28%: 1~3分間で死亡

一酸化炭素(CO:12+16=28)は、空気(約29、N2:14×2=28、O2:16×2=32)よりも軽く、床や下の方に滞留することはありません。

一酸化炭素の発生原因としては不完全燃焼によって生じます。例えば、換気を十分にしていない場所でストーブを焚いたりすることで起こります。ただ、実際に中毒事故が起きている事例としては、雪によって排気管がつまった状態で車内で暖房をつける為にアイドリングを続けて、排気ガスに含まれる一酸化炭素が充満してしまうケースが多かったりします。

ビル管理法において定められる空気環境測定基準は、一酸化炭素【10ppm】以下になります。特定建築物にならない事務所においては、【50ppm】以下になるように事務所衛生基準規則で定められています。

一酸化炭素以外に、危険な空気としては、「浮遊粉塵」があります。ただ粉塵の多くは、体内に入っても排出されることが殆どですが、排出されない粉塵が危険になります。それが粒径【1μm】以下の粉塵です。細かな粉塵になってしまうと、肺に沈着してしまい、身体に影響を及ぼしてしまいます。

「浮遊粉塵」と同じくらいの細かさの危険物質として、「たばこの煙」があります。特に、主流煙ではなく副流煙の方が粒径が小さく、刺激性も強いものになります。たばこの煙は、粒子と気体で出来ています。粒子は主にニコチンやカドミウムで構成されます。気体は一酸化炭素や窒素酸化物、アンモニアなどで構成されます。

これを受けて、平成14年に「健康増進法」という法律が制定され、学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店など多数の人が利用する施設の管理者は、受動喫煙しないような対策(専用の喫煙スペースの設置など)をしなければいけなくなりました。

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