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9.62019
害虫への薬剤の取り扱い
害虫への防除として有効である「薬剤」は、動物や昆虫をやっつける為、当然ながら人間にも影響があり得ます。
ですので、この人間への影響を十分に考慮して、薬剤は使用しなければいけません。薬剤を使用する上で理解しておくべきことを下記にまとめます。
1.選択毒性: 特定種類の生物にとってのみ致命的な毒性を発揮する性質(選択毒性があれば人にとっては安全)
2.体重の影響: 体重が小さいほど、薬剤の効きが良くなってしまう(人にとっては危険)
3.殺虫剤・殺鼠剤: 選択毒性がない為、人にも効く(体重の影響で大丈夫)、なので基本全て医薬品(+医薬部外品:30年以上前に承認された2種類のみ)しか使用不可
4.殺虫剤の切り替え: 1年に1回殺虫剤の種類を変えた方が良い(同じ殺虫剤に対して抵抗力が上がってくる)
5.油剤・高濃度の乳剤: 火気に注意する(念の為、消火器の準備)→保管量が指定数量を超えた場合は危険物取扱で市町村長の許可が必要
6.水和剤(水に溶かす薬剤): 配電盤など電気設備には使わない
7.燻煙剤: 煙感知器を切ってから、処理中は入室禁止措置をして、処理後は十分に換気をする
8.薬剤の保管場所: 直射日光が当たらない、温度・湿度の低い場所で管理する
9.薬剤以外の防除方法: 網戸をつける、防虫網をつける、暖房の空気が外に出ないようにする、白色灯よりも電球色を使う、外壁の凹凸を減らす
上記の「3」にもある「選択毒性がない」殺虫剤や殺鼠剤を使う上でどれくらい毒性があるかを図る下記の指標があります。
1.LD50(致死量 Lethal Dose 50%): ある集団の半数を殺すのに必要な薬剤量(体重1kgの動物に対する薬剤の量 mg/kg)
2.LC50(致死濃度 Lethal Concentration 50%): ある集団の半数を殺すのに必要な薬剤濃度(ppm)
3.IC50(阻害濃度 Inhibitory Concentration 50%): ある集団の半数の成長阻害できる薬剤濃度(ppm)
4.KT50(ノックダウン時間 Knockdown Time 50%): ある集団の半数がノックダウンするまでの時間(分)、速効性を測る
つまり、LD50などの指標は少なければ少ないほど、薬剤の威力が強いということになります。
LD50の簡単な数値比較は以下の通りです。殺虫剤など人間にはほぼ影響がないように作られていることが分かります。
1.フグの毒: 0.0085
2.コブラの毒: 0.5
3.青酸カリ: 10
4.ニコチン(タバコ): 24
5.カフェイン(コーヒー): 174~192
6.アセフェート(殺虫剤): 480~520
7.ブプロフェジン(昆虫成長制御剤): 2,198~2,355