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5.72019
空気環境における「熱の伝わり方」について
本記事から、「3.空気環境の調整」についてまとめていきたいと思います。
空気については、「2.建築物の環境衛生」の中でも色々と触れてあったように、「熱」「温度」「害を及ぼす空気」「換気」「音」など様々な要素があります。
ここからは、主に空気環境に絞った形で各要素に対する調整の仕方や原理について深堀りしていきたいと思います。今回は、「熱の伝わり方」についてです。
基本として熱は「熱い」ところから「冷たい」ところに流れます。川が川上から川下に流れるのと同じ原理にてエネルギーが高いところから低いところに流れます。熱が伝わることを言葉の通り「伝熱」といいます。
伝熱方法は大きく下記の3つになります。
1.伝導: コンクリートと鉄といった固体と固体の間の熱の移動
2.対流: 空気や液体の移動によって熱が移動(暖かい空気は軽いので上部へ移動)
3.放射: 電磁波による熱の移動(遠赤外線が波状に拡がって伝わる)
固体同士の場合は伝導になりますが、固体と気体・液体など相が変わると伝達と呼び方が変わります。
伝導の強さを熱伝導率と呼び、この熱伝導率は固体の密度が高いほど伝わりやすくなります。なぜならば伝導は固体内の原子の運動によって伝播しており、原子間が近ければ近いほど伝播しやすくなるからです。逆にスカスカの構造になると熱伝導率は下がります。また内部に湿気(液体)を含ませても原子間の隙間に液体の原子が入る為、スカスカが減り、熱伝導率が高くなります。
金属で言えば、銅は熱伝導率(390W/m・k)が高く、グラスウールのようなスカスカしたものは熱伝導率(0.04W/m・k)は低くなります。熱伝導率が高い固体は調理器具に使われ、熱伝導率が低い固体は断熱材に使われます。
一方、伝達の強さは熱伝達率と呼ばれます。この熱伝達率も熱伝導率と同じく、密度が高いほど伝わりやすくなります。ですので、固体⇔液体の方が固体⇔気体よりも熱伝達率は高くなります。
実際に100℃の空気の中(例えばサウナ室)に暫くいることは出来ますが、100℃の水の中に1分でも入っている事は難しいです。(火傷してしまいます。)ただ当然ながら熱伝導率の方が熱伝達率よりは高くなります。なぜなら、100℃の金属を直接肌に当てる方が100℃のお湯に入るよりも厳しいことは直ぐ分かるからです。