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建物の構造力学

建物の構造を深く知るには、その構造を作る鉄筋やコンクリートなどの柱や梁の材料に負荷される力を理解しなければいけません。「材料力学」と言われる世界です。

材料は重みや揺れなどによって力を加えられると、外側だけでなく内側まで力(「応力」と言います。)が伝わっていきます。この外からの力に対して効率的に対抗できるようにするために材料を強くしたり、材料の組み合わせの構造で工夫します。まずこの応力について下記に整理したいと思います。

1.軸方向応力: 言葉通り軸方向にかかる応力
2.剪断応力: イメージとしては外から大きなハサミで切ろうとした時にかかる応力
3.曲げモーメント: 曲げようとする力

この応力やモーメントが、前回紹介した材料の組み合わせの構造にどのように作用しているかを下記に整理します。

1.ラーメン構造: 柱と梁を溶接してくっつける構造(ガチガチ系)
→縦向きのに「軸方向応力」「剪断応力」「曲げモーメント」、横向きのに「剪断応力」「曲げモーメント」がかかる
2.シェル構造: 薄厚の曲面板でつくる柱がない斬新な構造(オペラハウス系)
→曲面板に「面内力」として、まとめて応力がかかる
3.トラス構造: 鉄橋など三角形に組んだ構造、構造上強い(橋系)
→各部材に「軸方向応力」のみがかかる
4.アーチ構造: 弓形の弧を描く構造、構造上強い(トンネル系)
→アーチ状の部分に「軸方向応力」「剪断応力」「曲げモーメント」がかかる
5.空気膜構造: ドーム型野球場(ドーム系)
→内部と外部の空気圧の差を利用して支える為、膜面に「張力」のみかかる

ですので、特別に大きな構造物(大スパン構造)を作る場合は、「シェル構造」や「トラス構造」を用いて、応力がかかりにくい状態にしなければいけません。

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