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3.112019
なぜ建物の清掃管理をしなければいけないか?
ホテルや工場、商業ビルや店舗など、建物があって人が集まる場所では、清掃管理が必須となります。
ただ、その理由はどこから来ているのでしょうか。
先の記事にも書いたように、建築物環境衛生管理技術者の「1.建築物衛生行政概論」の中に説明があります。
そこに、「3つの法律」によって清掃管理が必要となる根本的な意味合いが定められています。
1.日本国憲法第25条(生存権、国の社会的使命)
2.世界保健機関(WHO)憲章
3.ビル管理法
です。
「1.日本国憲法」には、下記の内容が書かれています。
すべての国民は、「健康」で、「文化的」な「最低限度の生活」を営む権利を有する。国はすべての「生活部面」について、「社会福祉」、「社会保障」及び「公衆衛生」の向上及び増進に努めなければならない。
憲法の場合は、法律の中でも最も上位概念を示すものの為、非常に抽象的な表現になっています。時代によって「最低限度の生活」の基準は変動するとは思いますが、いずれも「生活=生きる上での活動」が出来るように政府が努力をする(税金を投入する)ように規定されていると言えます。そして「公衆衛生」の向上が定められていることから、生活において「衛生管理」の重要性が明確に書かれています。
また、「2.世界保健機関(WHO)憲章」には、下記の内容が書かれています。
健康とは、「身体的」・「精神的」および「社会的」に完全に良好な状態にあることであり、単に病気または病弱でないということではない。
到達し得る「最高標準の健康」を享受することは、「人種」・「宗教」・政治的信念・経済的ないし社会的地位の如何にかかわらず、何人もが有する「基本的権利」のうちの一つである。
世界保健機関(WHO)憲章は、1946年7月22日にニューヨークで61か国の代表により署名され、 1948年4月7日より効力が発生しています。今から約70年前になります。健康についての定義が個人の体調だけの問題ではないのが興味深いです。こちらも人が劣悪な環境にて健康(身体的、精神的、社会的)が害されることは、人が持つ「基本的権利」を奪われているということになります。
そして、清掃管理に直接言及している「3.ビル管理法」には、下記の内容が書かれています。
この法律は、「多数の者が使用」し、又は利用する建築物の「維持管理」に関し環境衛生上必要な事項等を定めることにより、その建築物における「衛生的な環境の確保」を図り、もって「公衆衛生の向上及び増進」に資することを目的とする。
ビル管理法は、正式名称を「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」といいます。法律で、ある程度の人数が集まる建物に関しての衛生上の維持管理を定めています。
つまり、大本となる憲法やWHO憲章で定める「人のあるべき姿」から、ビル管理法という建物の衛生管理に特化した法律が出来たと言えます。
次からは、この「ビル管理法が適用される建築物は何か?」、法律(ビル管理法)違反しないようにするための正しい手続きについて書いていきたいと思います。