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室内空気環境の不適率

これまでも何度も再掲していますが、特定建築物における空気の守るべき基準は、下記の形になります。

1.浮遊粉塵: 0.15mg/㎥以下
2.一酸化炭素: 10ppm以下(0.001%以下)
3.二酸化炭素: 1,000ppm以下(0.1%以下)
4.温度: 17℃~28℃
5.相対湿度: 40~70%
6.気流: 0.5m/s以下
7.ホルムアルデヒド: 0.1mg/㎥以下

1の「浮遊粉塵」は、たばこや外気の状態(埃っぽい)、清掃やメンテナンスによっても変動します。ただ昭和の時代から比べると、室内で煙草を吸える場所は少なくなっており、更に空気清浄機の利用もされ、浮遊粉塵の不適率は近年は1桁台に近い低い数値になっています。

2の「一酸化炭素」は、浮遊粉塵の原因と近く、たばこや外気の状態(汚染されている空気)、燃焼器具の不完全燃焼、自動車の排気ガスなどによって影響されます。浮遊粉塵と違う点は、燃焼器具の不完全燃焼や自動車の排気ガスで、駐車場や厨房からの排気が室内に侵入してしまうと一酸化炭素濃度が高くなり、不適率が上がってしまいます。特定の時間帯や特定の階・部屋で生じることが多いです。ただ、不適率としては浮遊粉塵同様に1桁台に近い低い数値になっています。

3の「二酸化炭素」は、室内の人の数や換気によって大きく変動します。0.1%以下が適正値ですが、10~20%程の不適率で、相対湿度の次に悪い結果となっています。ホテルの宴会場などで人が多く密集している空間では極端に二酸化炭素濃度が高くなってしまいます。

4の「温度」は、近年では不適率は3~4%の低い数値で推移していたのですが、東日本大震災の影響で2011年(平成23年)から夏場の冷房の節電が行われるようになり、夏場の室内が28℃以上になることが増えました。それにより、直近では不適率が20%ほどに上がってしまっている状態です。

冬場のお風呂場におけるヒートショックにもあるように、外気と室内の温度差が激しくなりすぎると、血圧の変動が大きくなり、高齢者にとって身体の負担が大きくなってしまいます。出来る限り、外気と室内の温度差が大きくなり過ぎないようにエアコンによる空気環境の調整が必要です。

5の「相対湿度」は、最も不適率が高く、30%ほどになります。原因の大半は、冬場の暖房による乾燥です。室内を暖房によって温度を上げる為、25℃くらいまで上げると相対湿度がグッと下がってしまいます。それにより、乾燥が起こり、相対湿度が40%以下になってしまいます。加湿器や暖房の温度を上げ過ぎない調整を行い、相対湿度を下げ過ぎないようにすることが必要です。

6の「気流」は、0.5m/s以下とされていますが、これは室内での不快な冷風気流を避ける為に設定されております。ただ、気流に関しては、不適率としては最小の1%前後レベルで、特に問題はない状態です。逆に極端に低気流(0.05m/s以下)になってしまうと、室内温度が場所によって不均一になり、更に換気も上手く回らず、二酸化炭素濃度を上げてしまう可能性もあります。

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