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6.172019
空気や液体の計算における考え方
これまで空気環境を作る上での具体的な設備や仕組みについてまとめてきましたが、空気や液体を通じて共通する基本の法則について整理していきたいと思います。これが理解できると、どのようなダクトの設計をすると良くないとか、空調の効率が良くなるなどが分かるようになります。
流体の基本の法則として下記があります。
1.連続の式: 断面積(S)×流速(V)×流体密度(ρ)=一定
2.ベルヌーイの定理: 動圧(1/2ρV2)+静圧(P)=全圧(H)=一定
物理などでやったことがあるかもしれませんが、1の「連続の式」は質量保存の法則の事です。つまり、管を通る気体や液体の質量は変わらないことから、例えば、入り口が広い面積から流入した液体が出口で狭い面積で流出すると、ホースの先を指で挟んだ時みたいに、勢い良く(流速が大きく)出てきます。つまり管の断面積が広くなれば速度はゆっくり、断面積が細く狭くなれば速度は速くなります。感覚的にも分かるかと思います。
一方、2の「ベルヌーイの定理」はエネルギー保存の法則の事です。エネルギー保存の法則は、物体が持つエネルギーは常に一定で、例えばジェットコースターは速度を持つ運動エネルギーを持たせる為に、高い位置までコースターを運び位置エネルギーを高めて、それを一気に急降下することで運動エネルギーに変換しています。人間も生きる為に、体温の熱を発しています。その熱を作る為に食事をとりエネルギーを作ります。
これが流体になるとベルヌーイの定理と呼ばれ、動圧つまり運動エネルギーと静圧のエネルギー量は一定となるというものです。具体的には、缶にパンパンに入ったガススプレーがあった場合に、スプレーが閉じていればエネルギー量は全て静圧になります。このスプレーを押せば一気にガスが噴出され、運動エネルギーに変換されます。この運動エネルギーが動圧です。この動圧分が初めの静圧から引かれます。
ベルヌーイの定理から流速V=√2×√⊿P(全圧ー静圧)/√ρが導くことが出来ます。ただ、流速は窓など排出される形状によっては空気の粘性や摩擦係数が働き、実際には少し遅くなります。具体的には下記になります。
1.窓: 0.6~0.7倍に流速が落ちる
2.ベルマウス(まっすぐな配管): 1倍で流速が変わらない
3.ルーペ(角度のついたブラインドのような出口): 90° 0.7倍/70° 0.58倍/50° 0.42倍/30° 0.23倍