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冷凍機の種類

前回から「熱源設備」について整理していますが、その中で「冷凍機」について深堀り隊と思います。気体を急激に膨張させて、冷えた気体を作る冷凍機は、大きく下記の3種類に分かれます。

1.蒸気圧縮冷凍機(エアコン、冷蔵庫)
2.ヒートポンプ方式(エアコン)
3.吸収式冷凍機(大型の冷却設備)

1の「蒸気圧縮冷凍機」はエアコンや冷蔵庫の構造として使われています。冷媒ガスを圧縮(温度上昇)⇒冷却⇒液化(凝縮)⇒蒸発(膨張)で周りの温度を下げます。冷媒ガスを圧縮する圧縮機の形式は下記の2つがあります。

1.ターボ(遠心)冷凍機: 羽根車の高速回転によって発生する遠心力を利用して冷媒を圧縮する
2.往復圧縮機: シリンダ内のピストンを往復させることによって、冷媒ガスを圧縮する(車のエンジンと同じ)

何れも、①冷媒ガスを圧縮機で圧縮して、②凝縮器で圧縮されたガスを冷やして液化させて、③膨張弁を取って一気にガスに戻って蒸発し、④蒸発器で周りを冷やして暖かいガスに戻る、という一連のサイクルを繰り返します。

次に、2の「ヒートポンプ方式」は、最近のエアコンや給湯器の主流として良く使われています。ヒートポンプは冷暖房や冷温水の取り出しが可能です。冷房の場合は、冷凍機の原理を使い、暖房の場合は冷凍機の逆のサイクルを利用します。

つまり、冷房の場合は、室外機で圧縮(温度上昇)で熱い空気を外に吐き出し⇒冷却⇒液化(凝縮)⇒室内機で蒸発(膨張)で室内の空気を冷やしますが、暖房の場合は、室内機で圧縮(温度上昇)で室内の空気を暖かくして⇒冷却⇒液化(凝縮)⇒室外機で蒸発(膨張)で外に冷たい空気を吐き出します。暖房の場合は、外の空気の熱量を採取する為、寒くなればなるほど熱量が下がり、エネルギー効率は悪くなります。

3の「吸収式冷凍機」は、冷媒にを使い、吸収液に臭化リチウムが使われます。冷媒と吸収液がほぼ真空の容器の中で循環します。蒸発器で周りを冷やした水は気化熱を吸い込んで水蒸気となります。そして、その水蒸気は吸収器で吸収液に吸収され、その水蒸気が溶け込んだ液体が再生器に送られて、熱源蒸気で温められて水分が蒸発して濃縮されます。再生器で分離された水蒸気は凝縮器で冷却水に冷やされて水に戻って蒸発器に送られます。

吸収式冷凍機には「二重効用吸収式冷凍機」というものもあり、再生器と熱交換器が高温低温に分かれて熱効率を良くしています。

1の「蒸気圧縮冷凍機」と3の「吸収式冷凍機」の大きな違いは、吸収式冷凍機の方が、電力量が少なくて済む為、コスト削減になり、更にエンジンに似た圧縮機を用いる蒸気圧縮冷凍機と比べて振動や騒音も少なくなります。更に、真空で運転されるため高圧ガス保安法の適用も受けず、特別な運転資格も必要ありません。ただし唯一欠点としては、冷却塔が大型になる為、屋上に場所を取ることです。

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