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人が快適と感じる温度

前回、外気温に対応する為に人の皮膚で放熱したり、体内で発熱を起こしたりする内容を書きましたが、外気温の最適な温度とは何度なのでしょうか?
実際は、外気温ではなく、人の「皮膚の温度」の状態で人が快適と感じるかどうかが決まります。下記が皮膚の温度による人間の感じ方の変化です。

1.快適: 皮膚温度=33~34℃
2.暑いと感じる: 皮膚温度=35℃以上
3.寒いと感じる: 皮膚温度=31℃
4.不快な冷たさを感じる: 皮膚温度=21℃
5.極限の冷たさを感じる: 皮膚温度=15℃
6.寒さを超えて痛みを感じる: 皮膚温度=10℃

この皮膚温度を快適にするための調整パラメータは、下記の6つの要素になります。前回記事の体温の式から導き出されます。

1.代謝量: 発熱量に影響
2.着衣量: 伝導性放熱量に影響
3.気流: 対流性放熱量に影響
4.湿度: 蒸発性放熱量に影響
5.空気温度: 伝導性放熱量に影響
6.放射温度: 放射性放熱量に影響

上記の要素を「温熱環境要素」と言います。人が自分で調整できるのは、室外であれば代謝量(運動量)と着衣量くらいになるかもしれません。建物内であれば、気流、湿度、空気温度や放射温度を調整することができます。

人が快適と感じる温度=皮膚温度は、女性や高齢者によって若干変動があります。例えば、女性の場合は夏場の冷房が寒く感じやすい傾向があります。女性は男性よりも快適と感じる皮膚温度が1~2℃高いと言われています。原因としては、発熱量=代謝量が男性よりも女性の方が少ないからと思われます。

また、高齢者の場合も発熱量=代謝量が若い人よりは低くなっているので、女性と同様に快適温度が高い傾向にありますが、一方で機能の低下により、皮膚温度からのフィードバックが鈍くなり、冬場で寒くてもあまり寒さを感じなくなる傾向もあります。ただ、それは良いことではなく、体内の深部温度まで下がっている事があり、深部体温が35℃以下になると低体温症として身体の機能が正常に動かなくなってしまいます。

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